2009年。

海外のネットユーザーたちが、ある人物の死をきっかけに、一つの奇妙なウェブサイトへとたどり着いた。

その名は、「Lake City Quiet Pills」

表向きは、ただの画像置き場だった。

ところが、何気なくページのソースコードを開いた人物が、奇妙なものを発見する。

普通にサイトを見ているだけでは表示されない場所に、いくつものメッセージが隠されていたのだ。

※画像はイメージ画像です。

そこに書かれていたのは、

外国語を話せる人間。

海外で活動できる人間。

警備経験を持つ人間。

まるで、「何らかの仕事を請け負う人間」を募集する求人広告だった。

やがてネット上では、ある恐ろしい疑惑が囁かれ始める。

このサイトは、傭兵や殺し屋たちが仕事を受けるための秘密掲示板だったのではないか?

そして2010年。

この奇妙なサイトをめぐる噂は、現実に起きた一件の暗殺事件と交差することになる。

「Milo」と呼ばれた老人の死

2009年7月17日。

海外掲示板で、あるユーザーの死を知らせる投稿が行われた。

亡くなったとされたのは「ReligionOfPeace」という名前で活動していた人物。

ネット上では「Milo(マイロ)」と呼ばれていた。

投稿によればMiloは79歳。

軍歴を持つ老人だったとも語られていた。

そして彼の死後、そのオンライン上の足跡を調べ始めたユーザーたちが一つのサイトへとたどり着く。

LakeCityQuietPills.com

表向きは大量の画像が置かれているだけのサイトだった。

ところがページのHTMLソースを調べた人物が、本来なら画面には表示されない文章が埋め込まれていることに気づいた。

そこから、この話は急速に奇妙になっていく。

ソースコードの中に求人があり、発見されたメッセージには、普通の画像サイトには似つかわしくない内容が並んでいた。

たとえば、

「韓国語を流暢に話せる人物」

「フランス語必須のセキュリティ要員」

「海外での仕事」 

など、人員募集と思われる文章だ。

一つ一つだけを見れば、民間警備会社や海外セキュリティ企業の求人だったとしても、それほど不自然ではない。

問題は別のところにある。

なぜ、それを画像サイトのHTMLソースに隠す必要があるのか?

わざわざ一般の閲覧者から見えない場所に文章を置いていた。

このことからネットユーザーたちは、

元軍人や民間軍事会社関係者の連絡場所ではないかと考え始める。

そして、その推測はさらに過激なものへと変わっていった。

「これは暗殺の仕事を請け負う人間たちの秘密掲示板なのではないか」

という説である。

「Lake City Quiet Pills」という名前

アメリカ・ミズーリ州には実際に、

Lake City Army Ammunition Plant

という米軍の小口径弾薬を製造する施設が存在する。

では「Quiet Pills」とは何なのか。

ネット上ではこれを、「人間を永遠に静かにする薬=弾丸」

というブラックジョークではないかと解釈する人々が現れた。

もちろん、「Quiet Pills」が実際に暗殺者の間で使われる正式な隠語だったと確認されたわけではない。

だが、弾薬を連想させるLake City、Quiet Pills

さらに、ソースコードに隠された謎の求人。

偶然にしては怪しく見えた。

「パーティー」の招待状

2010年1月。

ソースコードに、今度はMiloの誕生日を祝う「パーティー」の案内と思われる文章が現れた。

一見すれば、亡くなった友人を偲ぶ集まりでしかない。

ところが、その後に掲載された内容が妙だった。

多数のホテルの部屋、送迎、高額な飲食費。

そして、「電話は安全ではない」という趣旨の注意。

さらに後日、パーティーの費用と思われる明細まで掲載された。

その総額は 94,080ドル。

当時の日本円にしておよそ826万円がパーティ費用として使用されていたのだ。

ただの誕生日パーティーとして考えると、かなり大規模な金額。

いったい何の集まりだったのか?ネットユーザーたちは再び騒ぎ始める。

そして、ある人物が奇妙なことに気づいた。

ドバイでの暗殺事件

2010年1月19日。

ドバイのホテルで、ハマス幹部のマフムード・アル=マブーフが死亡した。

※マフムード・アル・マブフ(丸で囲まれた人物)がホテルに到着した監視カメラの画像

※マフムード・アル・マブフ(下)は、彼を殺害したとされる人物たちに尾行されている。

後の捜査では、複数の人物が偽名などを使用しながらドバイへ入り、組織的に行動していたことが明らかになっていく。

※ドバイ警察が公開した合成写真には、湾岸首長国の高級ホテルでマフムード・アル・マブフを殺害した疑いのある11人が写っている。

そしてネットユーザーたちは、

Lake City Quiet Pillsに掲載されていた「パーティー」の時期と、この暗殺事件の時期が近いことに気づいた。

多数のホテル、

海外から集まる人間、

安全ではない電話、

そして高額な費用。

そこから、一つの恐ろしい仮説が生まれた。

「パーティーとは暗殺作戦を意味する隠語だったのではないか?」

Lake City Quiet Pillsとこの暗殺事件を直接結びつける証拠は、現在まで確認されていない。

時期が近い、内容が意味深。

ただそれだけである。

だが、この偶然が「殺し屋サイト説」を一気に有名にすることになった。

こちら側に気づいた?

ネットユーザーたちがLake City Quiet Pillsのソースコードを本格的に解析し、その内容をネット上で共有し始める。

すると、サイトのメッセージが変化したのだった。

それまで普通の文章として読むことができたものが、数字や記号が並ぶ暗号のような形式へ変更されたという。

ユーザーたちはその暗号の解析を始めた。

すると、再び形式が変更された。

まるで誰かに読まれていることに管理者が気づいたかのようだった。

その後、Lake City Quiet Pillsは姿を消した。

残ったのは、保存されたページと断片的な記録だけだった。

結局、殺し屋のサイトだったのか?

現在までに、Lake City Quiet Pillsが本当に暗殺者たちの連絡サイトだったことを示す決定的な証拠はない。

しかし、考えられる可能性はいくつもある。

元軍人や民間警備関係者の内輪の連絡場所だった。

軍事マニアたちによるブラックジョークだった。

誰かが作った大規模なARGだった。

あるいは、ネットユーザーたちが無関係な出来事を結びつけ、巨大な物語を作り上げてしまっただけなのかもしれない。

ただ、この事件には一つだけ妙なところがある。

最初から怖い話として公開されたものではないのだ。

普通の画像サイトがあった。

誰かが偶然、そのページの裏側を覗いた。

本来なら読む必要のないHTMLソースの中に奇妙な文章があった。

人々がその存在に気づいた途端、文章は読みにくい形へ変わった。

そして、サイトそのものが消えてしまった。

すべてが悪ふざけだったのかもしれないが、もしそうではなかったとしたら?

あの日ネットユーザーたちが開いてしまったソースコードは、

本来なら部外者が見るはずのなかった誰かの仕事場だったのかもしれない。

※Lake City Quiet Pillsと暗殺者・傭兵組織、およびマフムード・アル=マブーフ暗殺事件との関連は、ネット上で提唱された仮説であり、事実として確認されたものではありません。