この事件には、現在もネット上で見ることのできる奇妙な映像が存在する。

そこに映し出されるのは、雪の上に横たわる小さな身体、周囲を取り囲む男たち。

そして、棒とケーブルのようなものを使って“それ”を持ち上げる場面だ。

映像を見ていると、まるで発見当時の様子をそのまま撮影した記録映像のようにも思える。

しかし、これは1992年の現場を撮影した動画ではない。

伝えられている経緯によれば、発見時に撮影されたのは写真だった。

後にその写真をビデオカメラで一枚ずつ撮影したことで、デジタル化され、現在知られている映像が残されたという。

映像には約10枚の写真が残されている

現在確認できる映像を追っていくと、一枚だけではなく複数の角度から撮影された写真が登場する。

画質が悪いため細部までは判断できないが、その不鮮明さが見る側の想像力を刺激する。

海外の検証コミュニティでは、写真によって手や腕の見え方が違うのではないか、ただの人形ではないかという指摘が出ている。

ある角度では両手が確認できるように見えるのに、別の写真では片方の手が確認しづらい。

もちろん、これは撮影角度や低画質による錯覚かもしれない。

しかし、人形説を考えるうえでは無視できないポイントだ。

そして何より、この映像から科学的に正体を確認することはできない。

映っているものを触ることもできなければ、DNAを採取することや素材を分析することもできない。

残されているのは何かが雪の中に存在していたように見える写真だけなのである。

2008年にはすでにネット上で公開されていた?

この映像はいつから存在するのだろうか?

少なくとも2008年11月には、フランス語圏の掲示板でこの映像について議論されている。

そこでは、「1992年冬、ケベックのL’Annonciation地域で撮影された写真を映像化したもの」という、現在とほぼ同じ説明がすでに紹介されていた。

さらに2008年にはDailymotionにも「VRAI CORPS D’UN EXTRATERRESTRE AU QUEBEC 1992(1992年ケベックの本物の宇宙人の死体)」というタイトルの動画が投稿されている。

つまり少なくとも、現在のAI生成画像や、近年のペルーの“三本指ミイラ”騒動に便乗して作られた映像ではない。

この謎は、ネット上だけでも18年近く前まで遡ることができる。

※ペルーの三本指ミイラ

映像は本物なのか?

残念ながら、映像が古いことと「宇宙人が本物であること」はまったく別の話だ。

1992年当時でも、グレイ型宇宙人を模した人形を制作することはできた。

そして現在まで、

・現存している遺体
・オリジナルの写真
・DNAなどの生物学的試料
・第三者による科学的調査結果

といった決定的な証拠は確認されていない。

そのため、この映像だけを根拠に「宇宙人の死体だった」と結論づけることはできない。

しかし、それでも奇妙な事実は残る。

誰かが1992年にこの写真を捏造したのだとすれば、何のためにここまでやったのか。

現在のようにSNSへ投稿すれば一晩で数百万回再生される時代ではない。

YouTubeすら存在していなかったのだ。

雪の中まで人形を運び、複数の大人を集め、何枚もの写真を撮影した。

そして、その写真が広くネットへ出回るのはずっと後のことになる。

もちろん、単なる仲間内の悪ふざけだった可能性はある。

だが、この奇妙な時間差こそが、ただの人形だったという説明にもどこか引っかかるものを残している。